商標登録の区分とは?失敗しない区分の決め方を徹底解説

みなさんこんにちは、アイリンク国際特許商標事務所の弁理士の井上です。

今日は、よくご質問をいただく、商標登録の「区分」について、この記事を読めばわかるように解説します。

商標登録について弁理士に相談すると、3分も経たないうちに、「区分はどうしますか?」「区分はわかりますか?」と言った質問をされると思います。

なぜ弁理士がすぐに区分、区分というかというと、区分が確定しないと商標登録にかかる費用のお見積もりも出せなければ、商標登録できるかどうかの調査もできないためです。

それくらい、区分というのは、商標登録において必須な情報なんですね。

ここでいう、商標登録の区分とは、簡単にいうと、「その商標をどんな業種に使いますか? 」ということです。

例えば、「シャネル」の商標だと、第3類の化粧品、第14類のジュエリー、第18類のバッグ、第25類の衣類、合計4区分みたいな形で商標登録されています。

スターバックスの商標だと、第43類(飲食物の提供)、第35類(飲食料品の小売)、第30類(お菓子・コーヒー類)と合計3区分みたいな形で商標登録されています。

このように説明すると、「なんだ、つまり事業内容に番号を振って分類しているだけか。それならば、難しくなさそうだ。」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

はい、確かに、考え方自体は難しくありません。

ただし、区分というのは、商標登録の権利範囲が決定する最も重要な要素なので、もし間違ってしまったら全く意味のない商標登録になってしまいます。

なので、弁理士としては最も神経を使う部分でもあります。

そして、何より、商標登録は、区分の数によって費用が大きく変わります。

これも、話をややこしくしている要因だと思います。

この記事では、商標登録の「区分」について分かりやすく説明した上で、商標登録の「区分」に関してよくある失敗を、5つのポイントで完全解説します。

区分というのは舐めてかかると本当に取り返しのつかないことになりますので、この記事で5つの失敗ポイントだけは全て覚えてしまってください。

目次

区分とは?

まず前提として、「『区分』とは何?」ということをもう少し詳しく説明します。

わかりやすく実例を挙げてみましょう。

これは、特許庁のデータベースで見た、ユニクロの登録商標の情報です。

ここには、主に以下の3つの重要な情報が書かれています。

  • 商標
  • 指定役務
  • 区分

1つ目の重要な情報は、商標です。

このユニクロの例で言うと、登録した商標は、右側に記載されている「UNIQLO MIX」というロゴマークですね。

これは、ロゴマークだけでなく、ただの文字の場合もあります。

2つ目の重要な情報は、「この商標を何の業種に使うか」で、これを「指定商品役務」といいます。

画面左下に細かく書かれている部分になります。

そして、最後、3つ目の重要な情報は、この指定商品役務の前に、記載されている25という数字で、これが、今日のテーマの「区分」というものです。

区分というのは、商標登録したい業種、つまり、指定商品役務の分類をいいます。

ありとあらゆる商品やサービスが、全45区分に分類されています。

ちなみに、この45区分は、国際的な基準なので、日本以外の外国でも、概ね同じような分類がされています。

このUNIQLO MIXの商標の場合、第25類という区分において、洋服などの衣類について商標登録されています。

もう1つ例を見てみましょう。

これは、シャネルが商標登録しているもので、「CHANEL BY THE SEA」という商標です。

分野としては、先ほどのユニクロと同じくアパレル関係ですが、このシャネルの商標の場合、第25類の衣類以外にも、第14類のジュエリーやアクセサリー、第18類のバッグや財布についても指定されています。

商標登録において区分が重要な2つの理由

さて、区分というのが、指定商品役務の分類だということがわかったところで、区分が何でそこまで重要なのか、2つの理由を挙げて説明します。

2つの理由
  • 商標登録の効果は区分の範囲内にしか及ばないため
  • 区分の数で、商標登録の費用が決まるため

商標登録の効果は区分の範囲内にしか及ばないため

1つ目の理由は、そもそも「商標登録の効果は、区分の範囲内にしか及ばない」ということです。

なので、もし、25類の衣類の分野でユニクロという商標を登録していたとしても、違う区分、例えば第3類の化粧品の分野などでは、「他の人がユニクロという商標を登録することができる」ということです。

これは、商標登録の基本中の基本ですが、非常に重要で、失敗する人が多いポイントでもありますので、よく覚えておいてください。

なお、厳密なお話をすると、商標登録の効果の範囲を決めるのは、「区分」ではなくて「指定商品役務」なのですが、一般の方は、「権利範囲は区分で決まる」と考えておく方がわかりやすいので、そのように考えておいてほぼ問題ありません。

区分の数で、商標登録の費用が決まるため

さて、区分が重要な理由の2つ目です。

区分というのは、第何類を指定するのかも重要ですが、合計の区分数も重要です。

なぜならば、商標登録の費用は、区分数で決まるからです。

もう一度、先ほどのシャネルの商標登録の情報を、今度は、区分の数に注目してみましょう。

この「CHANEL BY THE SEA」は、14類、18類、25類と、合計3区分で商標登録されていますので、区分数は3ということになります。

これは、25類の衣類のみで商標登録するのとでは、だいぶん費用が変わります。

ここに表示しているのは、商標登録にかかる費用を、弁理士に依頼する場合と、自分で手続きする場合に分けて、さらに、区分ごとに分けた表です。

弁理士に依頼する場合の費用は、当然、弁理士によって差があります。

例えば、商標1件1区分で商標登録を弁理士に依頼する場合は、概ね、10万円から20万円程度の幅かなと思います。

一方、商標1件3区分で商標登録を弁理士に依頼する場合は、概ね、22万円から36万円程度くらいかなと思います。

すると、1区分と3区分での費用の違いは、3倍まではいきませんが、ざっくり2倍くらいにはなります。

なお、自分で手続きする場合、つまり、印紙代だけを比較すると、1区分と3区分の費用の差は、概ね3倍に程度になります。

このように、商標登録するときは、なるべく権利範囲を広く取りたいけれど、権利範囲を広くすると区分数が増えて費用が増える、というジレンマがあります。

登録した後に「区分を追加」できる?

区分数で費用が変わるというお話をした時に、よくいただく質問として、「区分は後で追加できますか?」というものがあります。

それはつまり、「初めから、関係のある区分全てを商標登録しなければなりませんか? 」という意味のご質問です。

結論として、商標登録したものに、後から区分を追加するという制度はありません。

ただし、商標登録した後に、別の区分でもう一度商標登録することはできます。

わかりやすく、例を挙げてみてみましょう。

これはスターバックスの登録商標です。

カタカナの「スターバックス」という同じ商標を、3回商標登録していますね。

これは、区分を増やすためと考えられます。

このように、再度商標登録すれば、区分を広げることができます。

ただし、その際には、2つ、注意点があります。

1つ目の注意点は、当然のことですが、再度商標登録する場合は、商標登録1件分の費用がかかります。

そういう意味では、初めから複数区分で商標登録した方が、費用的には安くすみます。

2つ目の注意点は、これも当然のことですが、再度商標登録する場合、その時改めて審査があります。

その時に、増やしたい区分について、商標登録となる保証はないということがあります。

例えばこのスターバックスの商標の場合、2013年に40類で出願し、次に2015年に29類で出願していますが、この間に29類を誰かに取られてしまう可能性もあったということです。

そういう意味では、必要な区分は、最初から指定しておくことがベストではあります。

予算との兼ね合いで区分を節約する場合は、「最優先にすべき区分はどれか」、よくよく弁理士に相談することをお勧めします。

結局、区分選びって難しい? それとも簡単にできる?

「結局のところ、区分選びって難しいの?」「簡単なの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

区分選びは業種などによって難易度が大きく異なります。

そこで、ここでは、以下の2つのポイントを挙げて解説します。

  • 区分選びは弁理士に相談するのがおすすめ
  • 区分選びが比較的簡単な業種と難しい業種

区分選びは弁理士に相談するのがおすすめ

現状、商標登録の区分を的確に選ぶのは、かなり専門的な知識が必要で難しいです。

なので、1つの結論としては、区分に関しては、弁理士、その中でも商標登録の経験値が高い方に相談するのがおすすめです。

自分で商標登録したい読者の方にとっては、身も蓋もないことを言う、と感じるかもしれません。

正直な話として、記事で集客するには「誰でもできる!簡単にわかる!」と言った方がお客さんが集まるのですが、やはり嘘は言えないんです。

私自身、弁理士を15年やっていてなお、区分がわからなくて、特許庁の商標国際分類室へ問い合わせることがあります。

自分がこれだけ難しいと感じていることを、誰でもできますというのはさすがに無理があるなと思うわけです。

区分選びが比較的簡単な業種と難しい業種

このように話すと、「いやいや、私は自分でやったけれど、案外簡単だったよ」という声が聞こえてくる気がします。

はい、確かに、ビジネスの内容によっては、難しくない場合もあると思います。

大まかな傾向としては、昔からある典型的な業種ほど、区分選びは簡単です。

例えば、飲食店。その中でも、最もシンプルな、店内で食事を提供するだけの飲食店の場合だと、指定役務は第43類、飲食物の提供、と記載すればいいので、確かに簡単だと思います。

また、アパレブランドの中でも、衣類だけ販売しているブランドならば、第25類、被服と記載すれば良いので、比較的、簡単だと思います。

このような、シンプルな業態の場合、ご自身で区分を選び、商標登録して、特に問題がないケースも多々あると思います。

一方で、近年は、こういうシンプルな業態ばかりではなくて、複雑な業態の会社が増えていますよね。

例えば、同じ飲食業であっても、ただイートインで食事を出すだけでなく、テイクアウトをやっていたり、食品を販売していたりする場合もあります。

この場合は、35類の小売や、30類、29類といった食品の区分が必要な場合があります。

1つ、実例を見てみましょう。

これは、私がよく利用するドトールコーヒーの登録商標の情報です。


まず、登録商標は、右側に記載されている、DOUTOR STANDというロゴマークですね。

この商標の場合、30類、35類、43類の、合計3区分で商標登録されています。

43類は、サービス業としての飲食物の提供です。

ドトールでいうと、イートインでコーヒーやパン、お菓子などを提供するサービスがこれに該当します。

一方、35類は、コーヒー、パン、お菓子などを小売するサービスです。

ドトールでいうと、飲み物などのテイクアウトがこれに該当します。

最後に、30類は、サービス業ではなく、商品としてのコーヒー、お茶、お菓子などを販売している場合に必要な区分です。

ドトールの場合、物販コーナーで、オリジナルのコーヒー豆などを売っていて、「ドトール」のロゴが入っていますよね。

こういう使い方が、30類の代表的なものです。

また、少しわかりづらいですが、テイクアウト用のカップに「ドトール」のロゴが入っていますが、これも、30類としての使用に該当します。

このように、飲食店という古来からある典型的なビジネスであっても、商標登録の区分選びは結構複雑になる場合があります。

一方、区分選びが難しくなりがちなな業種の代表格は、ITベンチャーです。

例えば、私のお客様には、「アプリを開発している」というITベンチャーがたくさんありますが、これは、第9類のアプリケーションソフトウェアで商標登録すれば十分かというと、そうとはいえません。

なぜならば、アプリを用いているとは言っても、それはあくまでサービスを提供する手段に過ぎない場合があるためです。

例えば、「ぐるなび」のサービスで考えてみましょう。

ぐるなびのアプリを利用している方、結構いらっしゃるかもしれません。

この場合、確かに、ぐるなびは、アプリの名前でもあるのですが、それ以前に、ユーザーに対して、飲食店の情報の提供サービスでもあります。

これは43類です。

そして、ぐるなびは何で収益を上げているかというと、広告業で収益を上げているわけですね。

そうすると、第35類の広告業も必要です。

また、私の印象では、ぐるなびはアプリというよりも、Webサービスの側面が強いように思います。

そうすると、第42類の、インターネットを通じた電子プログラムの提供も必須に思えます。

このように、ぐるなびという1つのサービスでも、複数の区分に跨ることは全く珍しくないということを覚えておきましょう。

区分に関するよくある失敗とその対策方法

さて、ここからはこの記事の最も大事なメインテーマとして、区分に関するよくある失敗のパターン5つとそれぞれの対策方法についてお話しします。

よくある失敗パターン5つ
  • 最優先すべき区分を見落としていた
  • 1つの事業で2つの区分が必要な場合
  • 余計な区分を含めてしまった
  • 外国で商標登録しようとしたら区分が足りない
  • 日本語に騙されて区分を間違った

最優先すべき区分を見落としていた

私が実際に体験した事例として、経営コンサル会社名の商標登録がありました。

経営に関するコンサルティングは第35類ですので、まずはこれを最優先で取得するのが適切です。

しかし、この会社は、第41類の知識の教授だけを指定して商標登録してしまいました。

41類にはセミナーの開催などもあるのですが、この会社はセミナーの開催などもしていたので、41類がピッタリだと思ったのだと思います。

このような事態にならないようにする対策は、自社のサービスにピッタリだと思う区分が見つかったとしても、念の為、他の区分も見てみることです。

そして、より適切な区分がないかを探してみてください。

確かに、41類の「知識の教授」という言葉は、コンサル業にも該当するように思えますが、35類をみると、「経営に関する助言」というものが記載されています。

これを見れば、35類の方が優先度が高いことに気づくと思います。

そして、もう1つ覚えておいて欲しいことは、基本的な考え方として、区分の選択というのは、明確に、正解がある、ということです。

なので、41類でも、35類でも、「どちらかで取得しておけば、まあとりあえず大丈夫」ということはないんですね。

これは、区分というのは商標権の独占権の範囲を決定する1つの要素なので、非常に厳格に解釈されるためです。

なので、プロでも、どちらの区分で商標登録するのが正解かわからないような難しいケースにおいては、「念の為、両方取得する」という方法を取ることがあります。

1つの事業で2つの区分が必要な場合

1つの事業で必ず2つの区分が必要な場合があります。

この時、片方だけを商標登録して不十分な権利になるのはよくあることです。

例えば、建設会社の場合、第37類の建築と、第42類の設計の両方の区分が必要です。

デザイン会社の場合は、第35類の広告物のデザインと、第42類の広告物以外のデザインの両方が必要です。

このように、業種が1つでも、区分は2つ以上必要な場合があることを覚えておきましょう。

余計な区分を含めてしまった

これは、失敗の中では、まだ比較的ライトなものです。

なぜかというと、お金が無駄にかかったとはいえ、権利範囲に問題があるわけではないためです。

例えば、音楽団体が商標登録するときに、第41類の音楽の演奏以外にも、第16類のポスターとか、パンフレットとかも含めてしまったような場合です。

このポスターとかパンフレットというのは、自社のサービスではなくて、自社のサービスを宣伝するただの広告媒体です。

なので、ここでは第16類は、含める必要がありません(グッズとしてのポスターやパンフレットを販売する場合は除きます)。

他には、第7類の機械部品を製造して、海外に輸出している会社が、この「輸出」という部分に注目して、第39類の「輸送」を取得しているケースもありました。

しかし、この会社は輸送業をやっているわけではありませんので、第39類は不要です。

外国で商標登録しようとしたら区分が足りない

日本での商標登録で区分が足りなかったことにより、後々外国で商標登録する時に後悔するパターンは、本当によくあります。

最もよくあるのは、国際出願をする場合です。

国際出願というのは、日本で登録した商標と同じ商標、同じ区分をベースにして、複数の外国に一度に商標申請手続きする制度です。

ただ、これはあくまで、日本で登録している商標と、その区分の範囲内になります。

なので、日本で商標登録した区分が間違っていたり、足りなかったりすると、改めて日本で商標登録を出し直す必要が出てきます。


このケースでは、区分が足りない場合もありますし、区分は間違っていなかったけれど、その区分の中で指定商品の選び方が足りなかったという場合もあります。

これは本当にあるあるで、ある意味ではしかたがないなと思う場合もあります。

日本で商標登録する場合は、事業を始めたばかりのことが多いですので、その状態で、将来まで見据えて適切な商標登録をすることは結構難易度が高いためです。

しかし、少しでも外国を意識するならば、国内出願の段階から国際出願が得意な弁理士に相談するのがおすすめです。

日本語に騙されて区分を間違った

これはすごくわかりづらいと思いますので、具体例でお話しします。

商品がタロットカードの時に、16類の「カード」を指定してしまったケースがありました。

16類というのは、書籍、紙類、文房具などの区分です。

確かにタロットカードは、紙類ですし、カードであることも間違いありません。

しかし、これは、16類ではなく、28類の「おもちゃ」と同じ区分に属しています。


他の例でいうと、第7類に「軸受(機械部品)」というものがあります。

これ、日本語だけをみると、機械部品としての全ての軸受が含まれることになります。

しかし、現実には、「自動車用の機械部品」だけは例外で、「第12類」に含まれるんです。

しかも、さらにややこしいのは、自動車用の機械部品の中でも、「エンジンと、エンジンに使う部品」だけは、「第7類」に入ります。

正直、これは弁理士ですら間違えかねないくらいのトラップだと思います。

対策ですが、これも、さっきの経営コンサルと知識の教授の例と同じで、他にもっと適切な区分が存在しないか、探してみるしかありません。

カードと書いてあるのだから日本語的にタロットカードも含むだろうと安心しないようにしましょう。

ここまで読んで、ご自分で調べたいと思う読者様も多いと思います。

そこで、次は、自分で区分を調べる方法をお伝えします。

自分で区分を調べる方法

さて、最後に、自分で区分を調べる方法を2つご紹介します。

自分で調べる方法
  • 同業他社の登録情報を参考にする
  • 「商品役務検索」を使う

同業他社の登録情報を参考にする

最も簡単なのは、同業他社の商標登録の情報を見ることです。

例えば、カフェを経営している場合は、先ほどのように、ドトールの商標登録情報を見れば、カフェで商標登録する場合にどんな区分が必要なのか、ある程度わかります。

ただし、言うまでもないことですが、ここで参考にした同業他社の区分が、適切である保証は全くありません。

なぜならば、区分というのは増やすほどにお金がかかりますから、費用の関係で区分数を妥協していることはままあるためです。

また、IT関係のような、新しいビジネスモデルの場合は、弁理士に依頼していている場合ですら、区分の選択を間違えている場合があります。

なので、同業他社の商標登録情報は、参考するだけにとどめるのがおすすめです。

そして、すごく重要なこととして、実は、区分の中身は毎年改定されています。

なので、参考にする場合は、なるべく直近の商標登録を選びましょう。

古くなれば古くなるほど、現在のバージョンとはかけ離れている可能性があります。

そして、参考にするのは、なるべく、きっちり商標登録にお金をかけている大手企業などの情報を参考にすると良いでしょう。

「商品役務検索」を使う

次に、特許庁が公開しているJ-PlatPatというデータベースの中の、「商品役務検索」という機能を使う方法もあります。

これが、J-PlatPatの、商品役務検索の画面です。

少しスクロールすると、このような検索窓があります。

ここの、「商品・役務名」のところに、自社の商品やサービスを入れてみましょう。

ここでは仮に、資産運用のコンサルをしている会社を想定してみます。

試しに、「資産運用」と入力してみましょう。

その検索結果が、こちらになります。

これを見ると、「資産運用」という言葉のつくサービスは、35類、36類、41類の3つの区分に存在することがわかります。

この方法の良いところは、自分の事業に関係のある区分が、複数ある可能性に気がつきやすいことです。

なので、先ほどの「失敗しやすいポイント」でお話しした、第28類のタロットカードと、第16類の文房具用のカードを間違えるようなことが起きづらくなります。

話を資産運用に戻します。

35類は、すごくわかりづらいですが、資産運用のコンサルではなく、資産運用関係の業務をしている会社に対する、経営コンサルです。

これは、今回は関係ありません。

おそらく、今回の「資産運用のコンサルをしている会社」において、最も当てはまるのは、36類だと思います。

まさに、「資産運用のコンサルティング」とか、「個人の資産運用に関する助言」などが記載されていますね。

しかし、これまた非常にわかりづらいのですが、41類にも「資産運用に関する知識の教授」というものが記載されています。

これは、日本語だけでいうと、ほとんど36類と変わりありませんが、41類の知識の教授は、もともとスクール的な意味合いが強いです。


なので、コンサルのように実務に即して助言するのが36類で、お勉強的に知識を教えるのが41類と、大雑把にいうとそういう形になりますが、現実としては、その境界線は曖昧です。

こういうのがあるので、区分選びは難しいんですね。

こういう場合、私であれば、「36類が最優先だけれど、41類もかなり取得する必要性は高い」とお伝えすると思います。

なぜかというと、こういう微妙な場合に、片方だけ登録して、他人にもう片方を取られたら、大きなトラブルになりかねないためです。

今日この記事を読んだ方は、非常に似たような商品やサービスが、区分を跨いで存在することだけは、覚えておいてください。

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まとめ

今回は、区分についてお話ししてきました。

ここで、区分について重要なポイントをまとめます。

区分の重要なポイント
  1. 商標登録の効力は区分ごとに発生します。商標調査も区分ごと行います
  2. 商標登録の費用は、区分の数により大きく変わります。
  3. 区分の選択の間違うと、全く意味のない権利になる可能性があります。
  4. 外国で商標登録する時に、日本の商標登録の区分が足りないと後悔する場合があります
  5. 区分で失敗しないためには、自分の事業にピッタリな区分を見つけても、もっとピッタリな区分がないかを調べる必要があります。

今日の記事はここまでになります。

今回の話があなたの会社で商標登録を検討するときに役立つことを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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