絶対に失敗しない海外の商標登録5つの注意点

みなさんこんにちは、アイリンク国際特許商標事務所弁理士の井上です。

今日は、海外での商標登録を絶対に失敗しないために知っておくべき注意点を5つお話しします。

この記事を読んでいる方の中には、「海外の商標登録をしたいけれど、日本以上に費用がかかるし、失敗が怖い」と思う方がたくさんいらっしゃると思います。

かくいう私も、外国の商標登録は、常に怖いです。

お客さんの外国案件を扱うときの緊張感は、国内の商標登録案件を扱うときの緊張感と全く違います。

海外の商標登録は、日本人から見ると信じられないような落とし穴がたくさんあるためです。

私は、海外での事業展開にチャレンジしている日本の中小企業の方々をすごく応援したいと思っているので、皆さんが、権利関係のことで余計な不安を抱えることがないように、この記事を書くことにしました。

また、この記事を読んでいる皆さんの中には、「海外展開自体は関心があるけれど、外国どころか、まだ日本でも商標登録をしていない」という方もいらっしゃると思います。

そういう方は、とてもラッキーで、この記事が必ず役に立つと思います。

なぜかというと、スムーズに外国で商標登録を成功させるためには、国内の商標登録の段階から準備すること、注意することが多くあるためです。

この記事は、今現在外国で商標登録しようと考えている方にも、まずは国内で商標登録して、外国はそれからという方にも必須の内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただき、質問などありましたらお気軽にコメントをください。

目次

海外での商標登録って何?

まずは、海外での商標登録について解説します。今回は「必要性」「方法」に分けて解説します。

必要性

まず前提として、海外での商標登録の必要性について、基本的な知識をごくごく簡単に説明したいと思います。

日本で商標登録した場合のその効果は、日本の範囲にしか及びません。

なので、日本国内だけでなく、外国でも商品を販売したり、サービスを展開したりする場合は、その国、その国で商標登録することが必要だということになります。

ここで、今私は「必要」と言いましたが、厳密には、日本において商標登録は義務ではないのと同様、外国でも商標登録は義務ではありません。

しかし、これも日本と同様に、商標登録をしないでビジネスをするのはリスクがあるということです。

基本的に、外国も日本と同じく、商標登録は早い者勝ちの制度をとっていますので、もし、同じ商標を誰かに先に外国で商標登録されてしまったら、その国ではその名前を使ってビジネスができなくなりますし、損害賠償請求をされる場合もあるためです。

方法

次に、外国で商標登録する方法についても、ごく簡単に説明します。

外国で商標登録する方法は、大きく2つあります。

1つ目は、もっとも基本的な方法で、アメリカ、中国、韓国、EUなどの特許庁に1カ国ずつ手続きをする方法です。

ただ、これだと国数が多い場合は手続きが大変ですので、国数が多い場合は、「国際出願」という制度を使う場合があります。

通称で、「マドプロ」とも呼ばれます。

これは、外国で商標登録するときに、1カ国ずつではなく、国際条約に加入している複数の外国に一度に商標申請できる便利な制度です。

ここで、国際出願をすれば、簡単に全世界に権利が及ぶ商標登録ができるとイメージしている方がいますが、これは、誤解です。

国際出願を使えば、確かに、複数の外国で商標登録するのが楽になります。

複数の国の特許庁に直接手続きするよりは安くなりますが、それでも、1カ国ずつお金がかかります。

なので、国際出願を使ったとしても、全世界に及ぶ権利を取ろうと思うと、ものすごいお金がかかります。

それゆえに、外国の商標登録の第一歩は、まず、商標登録する優先度が高い国を取捨選択することから始まります。

これは、一見当たり前のようで、すごく重要なので、覚えておいてください。

なお、国際出願は、マドリットプロトコル(通称マドプロ)という条約に加盟していない国には使えません。

メジャーな国でいうと、台湾、香港、マカオがこれに該当します。

これらの国で商標登録する場合は、1カ国ずつ、別々に直接商標登録することになります。

海外での商標登録に失敗しないための5つの注意点

次に、「海外での商標登録に失敗しないための5つの注意点」を解説します。

海外での商標登録に失敗しないための5つの注意点
  1. 商標の「類似」の判断が厳しい国に注意(主に中国!)
  2. 指定商品役務の記載が厳しい国に注意(特にアメリカ)
  3. 使用主義の国に注意(ほぼ、アメリカ)
  4. 海外で商標登録するためには、まずは日本での商標登録が重要
  5. お見積もり通りに行かない場合も多い

順番に解説します。

1. 商標の「類似」の判断が厳しい国に注意(主に中国!)

海外での商標登録に失敗しないために知っておくべき注意点の1つ目は、審査において「商標の類似」審査が厳しい国があるという点です。

ここで、なぜ、注意点の1つめにこのテーマを持ってきたかというと、これが最も注意すべき点だからです。

審査において「登録商標と類似する」という拒絶理由通知をもらった場合は、基本、この問題は解消しないことが多いです。

この問題を解決する唯一の方法は、意見書で反論して審査官の判断を真っ向からねじ伏せることになります。

何か問題のあるところを修正するとか、追加の資料を提出するとかでは、どうにもならないんですね。

そして、類似の登録商標があると審査で判断されたということは、ニアリーイコール、その国ではその商標は使えない、ということでもあります。

したがって、結構なお金をかけて外国で商標申請して、審査で「商標が類似する」と判断されるというのは、最も避けたい状況と言っていいでしょう。

さて、その前提を踏まえた上で、以下に、商標の「類似」の判断が厳しい国を上げます。

類似の審査が厳しい国の例
  • 中国(ダントツ1位)
  • 日本
  • 韓国 etc.

結論から言ってしまうと、ダントツに注意が必要な国は、中国です。

それ以外では、日本と韓国が、結構、商標の類似の審査が厳し目という印象です。

この3カ国に共通することとして、アルファベット文化の国ではないということに気がつくでしょうか?

3カ国とも、漢字、カナ文字、ハングルなどの独自の文字体系を持っており、アルファベットよりもそちらを使うことが多い国ですね。

こういう国は、商標の類似について、その国独特の審査基準があります。

例えば、これを見ている方の多くは日本の方だと思うので、日本では発音が近ければアルファベット商標とカタカナ商標が類似と判断されるのはご存知の方が多いと思います。

それと同じように、韓国でもアルファベット商標とハングル商標が類似と判断されることがあります。

なので、韓国で商標登録できるかの商標調査は結構高度だといえます。

言い換えると、韓国は、現地代理人に有料商標調査を依頼する価値が高い国といえます。

さて、先ほど「ダントツ厳しい」とお話しした中国ですが、この国の類似の審査は、厳しいというよりも、カオスです。

これはあくまで僕の想像なので、間違っていたらごめんなさい、なのですが、中国の商標登録出願の数は近年急激に伸びており、2023年では日本の数十倍ありますので、熟練度の高い審査官の数が全く足りないのかもしれません。

話がそれましたが、中国の事前商標調査で特に気をつけなくてはならないのは、商標の部分一致です。

例えば文字の一部が共通していることで類似と言われるケースが多いことが非常に多い国なので、よくよく注意しましょう。

なお、これら3つの国の中で、日本や韓国は、拒絶理由通知をもらったときに意見書で反論して覆る確率も結構あるのですが、中国は、意見書で反論して覆る確率は低めです。

ちなみに、逆に類似の審査があまり厳しくない国はというと、基本、ヨーロッパやアメリカなどアルファベット文化の国は、商標の類似の判断はやさしめです。

2. 指定商品役務の記載が厳しい国に注意(特にアメリカ)

海外の商標登録を失敗しないための注意点の2つめは、指定商品役務の記載方法について厳しい審査をする国についてです。

指定商品役務とは、その商標をどんな商品に使いますか、どんなサービスに使いますか、という業種のことですね。

この記載の仕方が最も厳しいのはアメリカです。

どれくらい厳しいかというと、アメリカの商標登録出願をした場合、ざっくり約半数近くが、この理由で拒絶理由通知が来ます。

とにかく、具体的かつ疑義がない言葉で商品を記載するように要求してくるので、例えば、日本では、「菓子及びパン」のようなすごく抽象的な書き方が認められていますが、アメリカではこういうのは全然ダメです。

「icecream」「chocolate」のような具体的な記載をする必要があります。

ここだけ見ると、一見、そこまで難しくないように感じるかもしれません。

しかし、アメリカに関しては、この後説明する、「使用主義」というものとの兼ね合いもあり、指定商品の記載不備で拒絶理由通知が来る確率が跳ね上がっているんです。

さて、アメリカ以外の国を見てみると、EUと中国は、指定商品役務の記載は結構厳しい印象です。

一方、緩いなと感じる国は、日本と香港です。

ただ、このEUと中国については、これだったら大丈夫という書き方が割と明確にありまして、しっかり対策すれば、拒絶理由通知を受ける確率はそこまで高くありません。

一方アメリカの場合、審査官の裁量の幅が広いんですよね。

前の審査官はこの表現でOKだったけれど次の審査官はこれでは納得しなかった、みたいなこともあるので、非常に厄介です。

さて、この指定商品役務の記載不備問題ですが、これは結局どうなるかというと、ほとんどの場合、補正で解決します。

なので、この不備があっても最終的には登録になるわけで、そこまで致命的な状況ではありません。

ただ問題は、この補正手続には、追加の費用がかかるという点ですね。この点も、また後のセクションでご説明します。

3. 使用主義の国に注意(ほぼ、アメリカ)

海外の商標登録で失敗しないための注意点の3つ目は、「使用主義の国」です。

使用主義というのは、商標登録の条件として、商標を、指定商品について、事実として使用していることを重視する思想のことです。

これは、端的にいうとアメリカのことだと思ってください。

この「使用主義」という考え方自体は、アメリカだけでなく、程度の差こそあれ、各国が取り入れています。

例えば、日本でも、建前としては、全く使用する意思がない商標を商標登録することはできないというルールになっています。

ただ、使用する意思があるかどうかの証明義務は非常に薄くて、まあ、あってないようなものともいえます。

一方、アメリカは、この「使用主義」をどこよりも徹底している国です。原則として、使っていない商標は登録にしません。

そのため、アメリカで商標登録するには、日本や他の外国で商標登録するのと比べて、1つ、登録になるための条件が多く設けられていることを覚えておきましょう。

次に、「使用主義が理由となるアメリカ商標登録の注意点」について解説します。

さて、具体的にアメリカではどんな注意点があるかというと、大きくくると、次の4つだと思います。

  1. アメリカでの商標の使用証拠の提出が必要
  2. 指定商品役務も、アメリカで販売等している範囲に限られる
  3. 登録後も、5年後、10年後に商標の使用証拠の提出が必要
  4. アメリカ国内で使用されている未登録商標にも権利が発生する

1つずつ説明します。

1. アメリカで商標を使用している証拠の提出が必要

まずは、これが基本となります。

日本での商標登録になれている企業さんは、商品の販売予定が立つ前にまずは商標だけ取ろうと考えるのですが、日本ではそれができてもアメリカではそれができません。

アメリカでは、出願時か、遅くても登録までにはアメリカ国内でその商標を使っている状態を作ってその証拠を提出する必要があります。

そして、今いった「アメリカ国内で商標を使用していること」という概念も、日本の商標登録になれている企業さんの場合、甘く見てしまいがちです。

アメリカでは、「商標を使用している」と認められるための条件も、日本より厳しいです。

例えば、「お菓子」について商標登録しようとするときに、商標が表示されているのがお菓子のパッケージではなくて、ホームページのヘッダーだったりすると、これは商標の使用とは認められない場合があります。

この手の理由で商標使用の証拠を提出できなくて、アメリカで登録NGとなった企業さんも数知れずいますので、アメリカ出願に慣れている日本の弁理士は、「商標の使用をしているか」について細かく質問すると思いますが、その時は、弁理士に丁寧に現場を説明することをお勧めします。

さて、ここまでお話しした上でですが、この商標使用の証拠の提出義務には、例外があります。

それは、日本で完全に同一の商標を登録している場合です。

この場合、これをベースにすることで、使用証拠の提出は不要になります。

これは非常に便利なテクニックで、この方法を使えればアメリカでの商標登録の難易度が格段に下がりますので、この記事を読んでいるみなさんは、これはよく覚えておいてください。

2. 指定商品役務も、使用している範囲に限られる

アメリカの使用主義においては、指定商品役務、つまり、商標登録する分類についても、使用しているものに限られます。

日本では、将来の事業展開を見越して、あるいは権利漏れがないよう、念の為自社とは直接関係のない幅広い商品まで指定することが多いですが、これは、アメリカでは、原則としてできません。

例えばですが、「そばの麺」について使用している場合において、「麺類」全般について商標登録しようとした場合、審査官によって「それはダメだよ」と言われる場合があります。

実は、前のセクションで説明した、アメリカでは指定商品役務の記載不備を理由に拒絶理由通知をもらうことが多いという話は、この事情が大きく関わっています。

単に、商品役務を具体的かつ明確な言葉で記載すればいいというだけであれば、過去に審査でOKとなった表記をつかえ概ね大丈夫なわけですが、アメリカの場合、それに加えて、「実際に使っている商品以上に幅広い権利は取らせませんよ」という思想があります。

なので、熟練度の高い代理人が担当してすらも、アメリカでは拒絶理由通知をもらう確率が非常に高いんですね。

3. 登録後も、5年後、10年後に商標の使用証拠の提出が必要

さて、アメリカの使用主義の注意点4つ目は、登録後も、ことあるごとに、「商標ちゃんと使用している? 使ってないならば、取り消すけど」と、アメリカの特許商標庁から、使用証拠の提出を求められる点です。

この仕組みのせいで、アメリカでの商標が取り消しになった会社さんも、数知れずあります。

このようなチェックが入るのは、主に、登録後5年後と、あとは10年後の更新時になりますので、それまでにきっちり商標を使用している状態を作り、なおかつ、販売した商品の写真を撮っておくなど、きっちり証拠を残しておく必要があります。

特に、後ほどお話しする、日本の登録をベースとして、まだアメリカで販売していない商品等を含めて商標登録した場合は、登録後5年目のタイミングまでに商標を使っている状態を作るようにしましょう。

それができなければ、このタイミングで使っていない商品は削除するという選択を迫られます。

また、「うちはちゃんとアメリカで商標を使っているから大丈夫!」という会社さんもあるかと思いますが、その場合、登録している商標と、使用している商標が、完全に同じものであるか、よくよく注意しましょう。

例えば、カラーでロゴマークを商標登録したけれど、その後、ロゴマークをマイナーチェンジして、実際は少し違う色で表示していた・・・のような場合、色が違うことが理由に、「この登録商標、使っていませんね」と言われて、商標登録が取り消されることがあります。

4. アメリカ国内で使用されている未登録商標にも権利が発生する

最後、アメリカの使用主義のもう1つの側面として、商標登録していなくても、実際にアメリカでその商標を使ってビジネスをしている場合、一定の保護がされます。

とにかく、実際に使っている事実が大事なんですね。

例えば、あなたがABCという商標をアメリカで商標申請して、審査で無事に問題なしと判断されたとしても、その後の異議申し立て期間に、以前からアメリカでABCという商標を使っていたという同業者が「これ、うちの商標と同じなので登録にしないでください」と主張したら、その主張が認められる場合があるということです。

このような事情により、アメリカで商標登録する場合、登録商標だけを調べるのでは足りない場合があります。

つまり、登録はされていないけれど、アメリカで同じ商標が同じ分野で使われていないかも調べなければ、完璧とはいえないということです。

ただ、ここまでがっちり調査をするとかなりお金がかかりますので、そこまでやるかどうかは、事業のコストパフォーマンスを踏まえて弁理士に相談してください。

4. 海外で商標登録するためには、まずは日本での商標登録が重要

海外の商標登録で失敗しないための4つ目の注意点は、まずは日本での商標登録が重要、ということです。

最初に説明した通り、商標登録は各国ごとの制度なので、原則としては日本の商標登録と、外国の商標登録は、無関係です。

なのですが、国際出願(通称マドプロ)を使う場合は、話が変わってきます。

国際出願は、日本で登録したのと同一の商標で、なおかつ、日本で登録した指定商品の範囲内でしかできないためです。

このため、日本だけで見れば別段どっちでもいいようなことも、外国を見据える場合は、きっちり対策しておく必要があります。

例えば、日本では、カタカナとアルファベットの二段に記載した、通称、「二段併記」の商標がよく登録されていますが、これは、国際出願のベースにするには向きません。

外国ではアルファベットでしか使わないためです。

指定商品も、日本の商標登録にもし漏れがあったら、国際出願をする際に日本の商標を取り直す必要が出てきます。

そういう意味で、将来国際出願のベースにする可能性がある場合は、日本の登録商標は一寸の隙もない完璧な状態で登録しておきましょう。

もう1つ、国際出願以外に、日本の商標登録が外国の商標と関係を持つシチュエーションがあります。
それは、アメリカです。

先ほどお話しした通り、アメリカで商標登録するには、原則としてアメリカ国内で商標を使用している必要がありますが、例外的に、日本国内での商標登録が存在し、それをベースにアメリカで商標登録する場合のみは、アメリカでまだ商標を使用していなくても商標登録できます。

この方法のメリットは大きく2つあり、1つ目は、アメリカでの商標使用の証拠を提出しなくても良いという点です。これは、費用面も安く済みます。

そして、2つ目のメリットは、この方法を使うことで、アメリカでまだしばらく販売する予定がない商品も指定商品に含められるという点です。

例えば、「今はお菓子だけを販売しているけれど、数年後にはいろんな食品をラインナップに含めて行きたい」みたいなニーズ、ありますよね。このような場合、日本での商標登録をベースにする方法は非常に有効です。

そしてなんと、この手法は、アメリカの特許商標庁に直接手続きする場合も、マドプロを使う場合も、同様に使えます。

なので、これを見ている企業様は、将来アメリカで商標登録する可能性がある場合は、先に同じ商標を日本で商標登録しておくことを検討してみてください。

5. お見積もり通りに行かない場合も多い

海外で商標登録する場合の注意点、5つ目は、「当初のお見積もり通りに行かない場合が多い」ということになります。「費用が増える」ケースが多々あります。

その理由は細かくはたくさんあるんですが、究極的な原因は、「外国の現地代理人が基本タイムチャージ制で動いており、無料では一切手は動かさないから」ということになります。

逆にいうと、むしろ日本の弁理士の、当初のお見積もり以上の金額はなるべく請求しないというスタンスが、むしろ世界的に見ると特殊だと言ってもいいでしょう。

日本でも、当初想定していなかった追加の手続きが発生することはよくあるのですが、特に、私のように中小企業をメインのお客様にしている弁理士は、そこで追加の報酬を要求しないことが多いです。

例えば、アメリカのように指定商品役務の記載に補正が必要となることは日本でもあるのですが、アイリンクでは、これは無償で対応しています。

外国の弁護士においては、こう言ったことはまずありませんので、何か1つ、小さくても追加の手続きが必要になれば、必ず費用が増えると考えてください。

そして、最も気をつけなくてはならないのは、国際出願、通称マドプロです。

マドプロは、複数の国に一度に手続きできる便利な制度ですが、商標登録できるかどうかの審査は、各国の特許庁で行われます。

この審査で何も問題なければ、当初の見積もり通りの金額で登録まで行くことになりますが、問題は、各国の審査で何かほんの些細なことでも、拒絶理由を指摘された場合です。

この場合、ここから先の手続きは、日本の弁理士が直接することはできなくて、その国の代理人、つまり外国の弁理士や弁護士を雇う必要があります。

そうなると、費用は当初のお見積もりから一気に跳ね上がることになります。

ちなみに、ここまで見ていただいたみなさんは、最も追加の費用がかかりやすいのはどの国か、なんとなく想像がつくんじゃないでしょうか?

答えは、アメリカです。

なぜかというと、アメリカは拒絶理由通知が届いて追加の手続きが必要になる可能性が最も高い国であり、なおかつ、アメリカは物価が高いので、弁護士のフィーも高いためです。

このような事態になる可能性を下げるためには、外国での商標登録の経験値が高い弁理士に依頼するしかありません。

ただ、外国の経験値が高い事務所が必ずしも、ユーザーの費用的負担を気遣ってくれるとは限らないので、そこが難しい点ですね。


アイリンクは、マドプロを使う時は、各国での拒絶がなるべく来ないように各国ごとに指定商品の記載を細かく調整しますが、これは、結構手間がかかります。

「各国で拒絶が来た後に補正をすれば、最終的に登録になるからいいよね」と考える弁理士の場合、そこまでやりません。

そういう意味で、外国商標の場合、弁理士事務所選びは、国内以上に難しくなると思います。

最終的に登録にする腕だけでなく、クライアントの費用負担を少しでも減らす手間を惜しまないメンタリティが必要となるためです。

この記事を動画で見たい方はYoutubeでも解説しています!

まとめ

今回は「絶対に失敗しない海外の商標登録5つの注意点」をお話ししてきました。

ここで今日の内容をまとめます。

海外での商標登録に失敗しないための5つの注意点
  1. 商標の「類似」の判断が厳しい国に注意→ダントツで中国
  2. 指定商品役務の記載が厳しい国に注意→特にアメリカ
  3. 使用主義の国に注意→ほぼ、アメリカ
  4. 日本の商標登録から重要→国際出願、アメリカ出願する場合
  5. 見積もりから費用が増えることが多い

今回の記事では、外国で商標登録しようと考えている方、まずは国内で商標登録して、外国はそれからという方、「海外の商標登録をしたいけれど、日本以上に費用がかかるし、失敗が怖い」という方に向けて、商標の基本と海外の商標登録の具体的な注意点を分かりやすく解説しました。

今日の記事はここまでになります。

今回の話があなたの会社の海外商標戦略に役立つことを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

アイリンク国際特許商標事務所のホームページでは、特許、商標、著作権などの知的財産権について、ビジネス上必要な知識だけを厳選して掲載しています。

ぜひ、他の記事もご覧ください。

また、もっと具体的に相談したい方は、お問い合わせフォームから、私のオンライン個別相談をお申し込みください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次