商標登録の【無料相談を徹底活用】する方法

みなさんこんにちは。アイリンク国際特許商標事務所弁理士の井上です。

今日は、商標登録について、弁理士に無料相談するときに、失敗しない方法をお話していきます。

個人的な話になりますが、私は、平日はほぼ毎日、オンラインで特許や商標の無料相談を受けています。

私にとっては本当に日常的なことなのですが、相談する方の視点からみると、結構、弁理士に相談することにちょっとハードルを感じるという方が多いようです。

また、「ハードルとかは全然ないけれど、そもそも、これって弁理士に相談していいことなのか」といった疑問を持たれてる方も多いです。

確かに、弁理士の専門分野ってとてもわかりづらいですよね。

そして、何より、無料相談OKと言っている弁理士が、どこまで親身に相談に乗ってくれるのか、疑問に思っている方も多いです。

これも当然だと思います。

無料相談って、そもそも日本の弁理士独特の文化で、アメリカやヨーロッパではだいたいタイムチャージが発生します。

今日は、そんな、弁理士の無料相談を最大限活用するための、ポイントを全てお伝えします。

今日お伝えするポイントは以下の5つです。

弁理士の無料相談を最大限活用するための5つのポイント
  1. 商標登録の無料相談を積極的に受け付けている弁理士を探す
  2. まずは登録したい商標を伝えて、商標調査してもらう
  3. 区分は弁理士に考えてもらう方が安心
  4. 費用は、とりあえずHPに記載された料金表で把握しよう
  5. 相見積もりは全く問題ないけれどわざわざ伝えなくていい

そのために、わかりやすく説明するための題材として、私がいつもしている、新規のお客様とのZoomでの無料相談の内容を公開していきます。

これを見ると、弁理士がどんな感じで相談に乗ってくれるのか、イメージできると思います。

この記事を読むことで、商標登録の無料相談で弁理士を最大限活用することができるようになります。

そして何より、弁理士選びも失敗しづらくなりますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

商標登録の無料相談を積極的に受け付けている弁理士を探す

まず、本題に入る前に、前提として、商標登録の無料相談を受けるには、商標登録に強くて、尚且つ、積極的に無料相談を受けつけている弁理士事務所を探す必要があります。

実は、弁理士にとって最もメジャーな業務は、大企業相手の「特許」関連の業務なので、中小企業向けの商標登録業務に力を入れていて、なおかつ新規のお客様の無料相談に力を入れている事務所は、それほど多くないんですね。

ここで、少しでも安い事務所を探したいという場合は、インターネットで探せば比較的簡単なので、試してみてください。

むしろ、インターネットで探す場合、相場よりは安い事務所の方が多く表示されるかもしれません。

ただ、今回のテーマの、「弁理士の無料相談」を徹底活用したいという場合は、最安値クラスの事務所では、弁理士の時給的に難しい可能性が高いです。

というわけで、「きちんと相談に乗ってくれること」を重視するならば、少なくとも平均的な価格帯の事務所を探すのがお勧めですが、これは、結構、きちんと探さないと見つからないかと思います。

地道な作業ですが、いろいろな事務所のホームページとか、こういうYoutubeとかを詳しく見て、その事務所がどのようなスタンスの事務所なのかをチェックしていきましょう。

以上、最初のポイントは、商標登録に強くて、かつ、新規で問い合わせたお客さんに対して時間をかけて無料相談に乗っている事務所を、ウェブサイトなどを見てよくよく探しましょう、ということでした。

まずは登録したい商標を伝えて、商標調査してもらう

弁理士の無料相談を徹底的に活用する2つ目のポイントは、とりあえず、商標だけは考えておいて、最初に「商標調査」をしてもらうことです。

商標調査をしてもらう

弁理士に相談するときに、どれくらい事前準備をしておけばいいのか、という疑問がある方は多いと思います。

私のお勧めとしては、とりあえず、登録したい「商標」だけは、考えておくのがいいと思います。

なぜならば、商標登録において最も重要で、難しいものの一つとして、「商標登録できそうかどうかの調査」というものがありますが、登録したい商標が決まっていれば、弁理士によっては、無料で商標調査してくれるためです。

一方、結構多いケースとして、「ある商標を商標登録することを検討しているのですが…」みたいな形で、商標を伏せた状態で、「どれくらい費用がかかりますか?」とか、「こういう場合、商標登録する必要があるのでしょうか?」といったご質問をされる方もいるのですが、これは、あまりお勧めしません。

なぜかというと、そもそも、その商標が商標登録できないものだとしたら、全く話が変わってくるためです。

実は、商標登録って、一般の方が思っている以上に、登録になるための条件が厳しいです。

私の経験上、中小企業のお客様が、「この商標を登録したいです」と言って持って来られる商標で、登録可能性について不安がないものは、半分もないと思います。

なので、弁理士は、何よりも先に、その商標がそもそも商標登録できるものなのかどうかを調べます。

これを調べない状態で、他のどんなアドバイスをしても、全てが無駄になる可能性があるためです。

弁理士に相談するときには、まずは、商標の候補を伝えましょう。

そうすれば、弁理士が、それが商標登録できそうかどうか、調べてくれます。

これは、事務所によって無料の場合も有料の場合もありますが、私の事務所では、何よりまず登録可能性を調べないことには話が始まらないと思っていますので、商標調査は無料でお受けしています。

商標調査はどうやってする?

次に、実際の商標調査の様子をお伝えします。

私が新規の方との無料相談する時には、なるべく、画面共有をして、お客様に特許庁の検索画面を見てもらいながら、一緒に商標調査をするようにしています。

例えば、「アイリンククリニック」という医療クリニックの名前を商標登録したいというご相談があったとします。

この場合、「アイリンククリニック」が商標登録できそうか、一緒に検索画面を見ていきます。


まずは、「アイリンククリニック」で、完全に一致する商標を検索しています。

これはなさそうな気がしますが…やはりなかったですね。

次に、曖昧検索の機能を使って、類似の商標も調べます。

1件ヒットしました。「アイングクリニック」という商標です。

これは「アイリンククリニック」とは類似はしていないと思います。

さて、ここからが、本番です。

「クリニック」部分は、業種を表す普通名称なので省略して、「アイリンク」で、部分一致検索します。

26件ヒットしました。

結構、色々な分野で、登録されていますね。

医療の分野は、44類なので、44類を探します。

ありました。

国際登録ですね。

アメリカの会社が、アルファベットのiLinkで、医療分野で商標登録しています。

アルファベットのiLinkと、カタカナのアイリンククリニックは、マニュアル通りに考えると、審査で類似商標と言われる可能性が非常に高いため、アイリンククリニックは、絶対登録にならないとまでは言えませんが、かなり登録になりづらい商標だと思います。

「類似の商標」が見つかったときはどうする?

さて、私は、ここからが、本当に、弁理士に相談すべき内容だと思っています。

類似商標が登録されているという事実を踏まえた上で、アイリンククリニックの院長さんがどうするか。

ダメもとでチャレンジして商標申請するのか、それとも、クリニックの名前を変えるのか。

それとも、名前は変えずに、商標登録もせずに、アイリンククリニックという商標を使い続けるのか…その時のリスクはどれくらいあるのか。

そもそも、米国企業がiLinkという商標を登録している中で、アイリンククリニックというクリニック名はブランディング的にどうなのか。

どうしても「アイリンククリニック」で商標登録したくて、徹底的に争うとしたら、どれくらいの費用と、どれくらいの時間がかかるのか、など…。

ここまで深く相談すれば、自ずと、この「アイリンククリニック」という商標の、商標登録にはどれくらい価値があるのか、それに対して、この弁理士の報酬は高いのか安いのか、コストパフォーマンスも見えてくると思います。

以上、2つ目のポイントは、「無料相談の前に、登録したい商標の候補だけは考えていこう」でした。

これにより、ご希望の商標が登録できるかどうかを調査した上で、さらに深い相談に乗ってもらうことができます。

区分は弁理士に考えてもらう方が安心

商標登録の無料相談で失敗しない3つ目のポイントは、「区分」の選択についてです。

区分について

区分とは、第25類(被服)とか、第43類(飲食物の提供)とか、第44類(医療)といったように、その商標をどんな分野に使うかを、国際的な基準により分類したものです。

商標登録は、区分ごとに効果が発揮され、区分ごとに費用が発生するので、この区分の選択というのは、商標登録において最も重要な要素の一つです。

ただ、私は、弁理士に相談する際に、お客さんが自分で区分を考えてくる必要は全くないと思っています。

むしろ、自分で区分について調べてきて、「第何類と、第何類の2区分でお願いします」と、あまりきっぱり依頼することは、あまりお勧めしません。

なぜならば、そのようにオーダーされると、弁理士としては、「うーん、第何類は必要ないと思うんだけれど、まあ、お客様の言うことだから、余計な口を挟まないでおこう」といった感じで、区分についてはアドバイスしづらくなってしまう可能性があるためです。

この点は、結構、中・上級者の方も失敗しやすいポイントなので、注意しましょう。

弁理士と他の士業の違い

なお、これは余談ですが、弁理士の商標登録の業務って、「必ずこうしなくてはならない」ということはあまりないんですよね。

例えば、税理士さんに確定申告を依頼した場合、納税は法律上の義務ですので、例えば、「これは経費として認められません」みたいな形で、お客さんの意に沿わないことを言う場合も結構があると思います。

一方、弁理士の場合、特許とか商標登録って、そもそも、それ自体は法律上の義務ではありません。

なので、「お客様がそう希望されるならば、そのようにします」というスタンスは、弁理士にはよくあります。

私の場合、お客さんに言われた通りにするのではなく、「可能な限りベストな方法を提案する」と言うスタンスでやっているのですが、弁理士で、そういうスタンスを貫いている人は、かなりレアなんじゃないかなと思っています。

このスタンスだと、説明にかかる時間が非常に長くなりますし、下手をすると、めんどくさがられて、成約する仕事も成約しなくなる可能性があるためです。

さて、話を区分の話に戻します。

私の場合、区分を選ぶ際には、「必須のもの」「関係がありそうなもの」「ひょっとしたら関係があるかもしれないもの」の、3段階くらいの優先度をつけて、お伝えします。

たとえば、アパレルブランドを立ち上げられるというお客様の場合、「第25類の『被服』は、必須ですね」とお伝えした上で、「あとは、もし、オリジナルブランド以外も扱うならば、35類の『小売』も取っておく価値は高い」とお伝えします。

そして、必要ないかもしれないですが、関係があるかもしれないものとして、第14類の「アクセサリー」、第18類の「バッグ」など、アパレル分野の方がよく取得される区分を上げていきます。

皆さんも、このように、弁理士からの提案を受けてから、区分を検討するので良いと思います。

その上で、例えば、「第25類は被服ということですが、帽子も入っていますか?」とか、「第14類のアクセサリーは、将来は販売するかもしれないですが、今現在は予定していません。最初から含めておいた方が良いでしょうか?」 のように質問したり、「第18類のバッグは、販売する予定はないので、不要です。」のように、要望を伝えたりすると、失敗がありません。

費用は、とりあえずHPに記載された料金表で把握しよう

4つ目のポイントは、商標登録の費用は、「とりあえず、HPに記載された料金表を見る」ということです。

弁理士に相談する前に、どれくらい費用がかかるのか、把握しておきたいと思うのは当然のことだと思います。

いくら腕が良くて親切な弁理士でも、ものすごく報酬が高ければ、依頼したくても依頼できないですよね。

ただ、皆さんにあらかじめ知っておいてほしいのですが、商標登録は、「お見積もりだけ出す」ということが少し難しいサービスといえます。

なぜならば、先ほどお話しした通り、商標登録の費用は、区分の数により、全く変わるためです。

そして、区分の数は、簡単に決まる場合もありますが、簡単には決まらない場合も多いです。

なので、細かい話を聞いていない状態で、お見積もりだけくださいと言われるのは、好まない弁理士が多いと思います。

まあ、それは弁理士側の都合なので、じゃあ、皆さんはどうしたらいいかというと、私としては、「とりあえず、HPに記載された料金表を見る」ことをお勧めしたいと思います。

そのようにいうと、「しかし井上さん、事務所のHPに記載された料金表を見ても、実際にかかる費用は全然わからないです。」という声が聞こえてきます。

それは、確かに、その通りだと思います。

HPの料金表というのは、安く見せるように最低限の費用のみ記載されている場合がありますし、きっちりした料金表が載っている場合でも、それはあくまで料金表ですので、今回のケースでいくらになるかはわかりづらいためです。

それは確かにそうなのですが、私は、まずは、そのくらい漠然と費用を把握しておくくらいで良いのではないかと考えています。

なぜかというと、厳密にいくらお金がかかるかはわからなくても、概ね平均的な価格帯の事務所だということがわかれば、とりあえずは、安心して相談できるためです。

これは、例えるならば、行ったことのないお寿司屋さんに行く場合、予約する前に、食べログなどで、だいたいの価格帯を把握するのに似ています。

まずは、自分が依頼するのに無理のない価格帯の事務所かどうかだけ把握したならば、あとは、その弁理士を信頼して相談してみましょう。

そうすると、その弁理士も信頼に応えたいと思って一生懸命対応しますので、腕の良し悪しも見えてくるかと思います。

面倒かもしれませんが、その上で、お見積もりを出してもらって、依頼するかどうか、検討するのがいいと思います。

相見積もりは全く問題ないけれどわざわざ伝えなくていい

商標登録って結構お金がかかりますし、企業の経営に関することなので、相見積もりを取るのは、全く問題ありません。

ただ、「他社と相見積もりを取ります」と、最初の段階で、わざわざ、伝えるのは、あまりお勧めしません。

なぜかというと、それによって、元々はものすごくサービスの良い弁理士が逃げてしまう可能性があるためです。

アイリンクもそうですが、だいたい相場通りの平均的な報酬体系でやっている弁理士の事務所の場合、「うちより安い事務所はたくさんあるよね」とわかっているんですね。

ネット上ではどうしても価格勝負の格安事務所が目立ちますので、そこと価格だけで比較されると全く勝負にならないことは、よくわかっています。

なので、最初から、「相見積もりです」と言われてしまうと、どうしても、積極的に相談に乗る気持ちになりづらい弁理士が多いと思います。

私なんかは、相見積もりと言われても全くひるまないんですが、そういう弁理士はおそらく少なくて、だいたい、「アイミツならお見積書だけ送ろう」と、なるようです。

そうなってしまうと、せっかく、「複数の弁理士を比較して、良さそうな事務所を選ぼう」と考えているのに、それが逆効果になって、腕の良い弁理士に避けられてしまう可能性があります。

なので、もし良い弁理士を探したいと思うならば、少し時間がかかって面倒だと思いますが、初めの段階では、「とりあえずお見積もりだけください」というスタンスではなく、複数の弁理士一人一人に、本気で相談してみるのがお勧めです。

なお、最初から「相見積もりです」と伝える方は、「あなたに依頼するとはまだ決めていませんよ。勝手に費用を発生させないでくださいね」ということを意図している場合もあります。

こういう場合は、「どこから有料になりますか?」と、その都度その都度聞くのが良いと思います。

この記事を動画で見たい方はYoutubeでも解説しています!

まとめ

今回は「商標登録の【無料相談を徹底活用】する方法」を5つのポイントで解説してきました。

5つのポイントは以下のとおりです。

弁理士の無料相談を最大限活用するための5つのポイント
  1. 商標登録の無料相談を積極的に受け付けている弁理士を探す
  2. まずは登録したい商標を伝えて、商標調査してもらう
  3. 区分は弁理士に考えてもらう方が安心
  4. 費用は、とりあえずHPに記載された料金表で把握しよう
  5. 相見積もりは全く問題ないけれどわざわざ伝えなくていい

今日の記事はここまでになります。

今回の記事があなたの会社で「特許」「商標登録」「意匠登録」を検討するときに役立つことを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

アイリンク国際特許商標事務所のホームページでは、特許、商標、著作権などの知的財産権について、ビジネス上必要な知識だけを厳選して掲載しています。

ぜひ、他の記事もご覧ください。

また、もっと具体的に相談したい方は、お問い合わせフォームから、私のオンライン個別相談をお申し込みください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次